Scandinavian living

About Børge Mogensen

About Børge Mogensen

Fredericia

Børge Mogensen

人々のための家具に挑んだ ボーエ・モーエンセン 

 生涯にわたり、人々の生活を豊かにする、機能的で高品質な家具を作り続けたボーエ・モーエンセンはデンマーク人にとって非常に重要な家具デザイナーです。日本では彼の親友でもあったハンス J.ウェグナーの方が有名かもしれませんが、デンマーク人の多くは「世界一有名なデンマーク人デザイナーはモーエンセン」と信じて疑いません。
モーエンセンは20歳で家具職人としての資格を取得。その後コペンハーゲンの美術工芸学校を経て、デンマーク王立芸術アカデミーでコーア・クリントのもとで学びます。卒業後はすぐにデンマーク生活協同組合で設立されたばかりの家具部門のチーフデザイナーに抜擢され、ここで「J39」をデザインしました。
モーエンセンは、師であったコーア・クリントの教えを生かし、常に建築的な視点を持ちながら、さらに職人技術にも着目し効率の良い生産を目指します。
家具をデザインする際には、あらゆる服や日用品のサイズを測り、緻密に計算しながら機能性を極めた設計を行います。アイデアが閃めいたときは、封筒やタバコのケース、ナプキンの裏などにもスケッチしていたというエピソードも有名で、モーエンセンの家具作りに対しての情熱がうかがえます。
長く使える高品質の家具、そして多くの人が手にできるデザインを作り続けたモーエンセンの熱い信念はモダンデザインの礎となり、今も多くのデザイナーに影響を与えています。 

House of Mogensen 

数々の名作が生まれた 暮らし中の実験室 

緑豊かなコペンハーゲン郊外のゲントフテの傾斜地に、ボーエ・モーエンセンが自邸兼スタジオを建てたのは1958年のこと。このエリアには当時、多くの建築家やデザイナーが暮らしており、すぐ近くには親友のハンス J. ウェグナーの住まいもありました。
モーエンセンはこの家を友人で建築家のアルネ・カールセンとエアリング・ツォイテン・ニールセンの協力を得て設計。当時としては珍しいリビングダイニングがつながる開放的な間取りになっています。本当はキッチンもつなげたかったようですが、法律的な問題でそれは叶わず、代わりにキッチンとの間に日本の伝統建築から着想を得た素通しの観音扉を設けることにしました。モーエンセンは来日したことはありませんが、若い学生たちに「日本では同じ部屋がダイニングルームにもなるし、机を畳んで布団を敷けばベッドルームにもなる。我々は日本の住宅に学ぶべき」とよく話していたそうです。
また自らこの家を「実験室」と呼び、プロトタイプを持ち込んでは、暮らしの中でどうあるべきかを、実際に使って確かめていたというモーエンセン。1962年にデザインされた「2213ソファ」をはじめ、多くの家具がこの家から誕生しました。
「家具は人々が肩肘はらずに暮らせるよう、控えめな佇まいであるべき」という信念をもつモーエンセンですが、家族とともに暮らしたこの住まいにも気取らない居心地の良さが広がっています。  

 

Fredericia
Fredericia

Mogensen by Jasper Morrison 

ボーエ・モーエンセンほど才能あふれるデザイナーが、ずっと無名だったというのも不思議なものです。かくいう私も学生時代にアルネ・ヤコブセン、ハンスJ.ウェグナー、ポール・ケアホルム、ヴェルナー・パントンの名前は知っていたのに、モーエンセンのことは知りませんでした。 

ずっといいなと思っていたクラシック家具の中に、実は彼の手によるものが多く含まれていました。 その名を知らずとも、彼のデザインはそっと私の意識下に入り込んでいたのです。 革新的な取り組みをしながらも、その表現は行き過ぎることなく、あくまでも控えめに抑えられている。そんな地道さが、モーエンセンを隠れた存在にしてしまったのかもしれません。そう考えると、彼のデザインの特性をしっかりと理解し、評価することができます。モーエンセンは単にオブジェとしての椅子やテーブルをデザインするのではなく、 家具が環境にどのような効果をもたらすかに注目していたのです。彼がいかにインテリアと建築とを調和させ、 デザインを機能させるかに長けていたかは彼の自邸の写真を見れば一目瞭然でしょう。 

主張が強いものよりも控えめなものの方が雰囲気のよい空間を作りやすい。この事実に気づくのに、 私自身、長い時間と労力を費やしました。 そのプロセス上に、 私が2006年に深澤直人とキュレーションを行った展示会「Super Normal」がありますが、モーエンセンの作品を今改めて見てみると、彼がまさしく“Super Normal”な存在であったことがわかります。 極めて普遍的なもののなかに秘められた美しさを理解しそれがどのように日常生活に影響を及ぼすのかをモーエンセンはしっかりと認識していましたものの精神性がその形以上の魅力となって表出するまで、細部にこだわり、ラインを洗練し単純化する。  

これこそがデザインの本質でありまたモーエンセンのデザインが長く愛されている理由に違いありません。 

 ジャスパー・モリソン生誕100周年に寄せて) 

Barber & Osgerby

2022年秋に、オフィスでも日常生活でも使える家具シリーズ「プランコレクション」をフレデリシアから発表したバーバー・オズガビー。素材を生かしたシンプルかつ機能的なデザインは、ボーエ・モーエンセンからのインスピレーションだったと言います。 

「フレデリシアの熟練した職人技術のおかげで、最高の素材を使用した長く使えるコレクションが完成しました。新しい企業やブランドとのコラボレーションでは、それぞれの歴史や成り立ち、また長年作られてきた製品をリサーチしますが、今回フレデリシアとの仕事ではデザイナー、ボーエ・モーエンセンが特別なインスピレーションになりました。長年『J39』を愛用していますが、カーブや脚の傾きのようなものが一切ない、ストレートな構造が素晴らしい。それでいて、軽く快適な座り心地が実現し、長く愛されるデザインとして完成している。ボーエ・モーエンセンの比類ない建築的なアイデアは、我々のデザインの大きなヒントになっています」 

Fredericia
Fredericia

About J39モーエンセンチェア 

​1947年から作り続けられる​​人々の暮らしに寄り添う椅子​

「People’s Chair(人々の椅子)」の愛称で親しまれる、ボーエ・モーエンセンがデザインした「J39モーエンセンチェア」。豊かな素材感と機能性をたずさえた椅子は、人々の暮らしに寄り添いながら、長く使えるようにとデザインされました。
1947年の誕生から75年以上たった今も生産が途切れることなく、世界中の人々に愛され続ける北欧デザインのベストセラーでもあります。
なぜこんなにも人々の心を掴むのか。「 J39モーエンセンチェア」が生まれた背景とデザインに込められた思いから、その秘密を紐解いてみましょう。 

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